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「母乳吸われすぎて痛い…」それは頑張りの証!乳首の痛みと上手に付き合い、乗り越えるヒント

赤ちゃんが生まれた喜びもつかの間、授乳のたびに「イタタ…!」と顔をしかめていませんか?「まさか、こんなに痛いなんて…」「乳首が傷だらけで、もう限界かも…」と、母乳育児の楽しさよりも、痛みが先行してしまっていませんか?可愛い赤ちゃんのためとはいえ、その痛みに耐えるのは本当に辛いですよね。時には、授乳の時間が憂鬱になってしまうこともあるかもしれません。

「この痛み、いつまで続くの?」
「どうすれば痛みが和らぐの?」
「痛くても、授乳を続けた方がいいの?」

このページでは、「母乳が吸われすぎて痛い」というママの悩みに寄り添い、その痛みの原因から具体的な対処法、そして痛みを乗り越えて母乳育児を継続するための心強いヒントを詳しく解説します。乳首の痛みは、多くのママが経験する「頑張りの証」です。一人で抱え込まず、正しい知識とケアで、痛みを和らげ、授乳の時間を再び幸せなものにするために、一緒に見ていきましょう。

「痛みの正体」を知る:乳首が痛くなる原因と体の反応

乳首の痛みは、単なる「吸われすぎ」ではなく、いくつかの原因が複雑に絡み合って生じていることが多いです。痛みの正体を知ることで、効果的な対処法が見えてきます。

1.「正しい吸い方(ラッチオン)」ができていない

乳首の痛みの最も大きな原因は、**赤ちゃんが乳頭を正しく深くくわえられていない(ラッチオンが不適切である)**ことです。赤ちゃんが乳頭の先端だけを吸っていると、乳頭に過度な摩擦や圧力がかかり、痛みや傷、ひび割れが生じやすくなります。

  • 浅い吸い付きによる摩擦
    • 赤ちゃんが口を大きく開けず、乳頭の先端だけをくわえている。
    • 赤ちゃんの舌が乳輪部をうまく包み込めていない。
    • 赤ちゃんが乳頭を噛むように吸っている。

    このような場合、授乳のたびに乳頭が摩擦を受け、表面の皮膚が剥がれたり、ひび割れたりして、激しい痛みを感じるようになります。

  • 乳腺炎のリスク:不適切な吸い付きは、母乳が乳房内に滞留しやすくなり、乳腺炎(乳房の炎症や感染)のリスクを高めることもあります。乳腺炎になると、乳房全体が赤く腫れて痛み、発熱などの症状を伴います。

2.乳頭の皮膚のデリケートさ

乳頭の皮膚は非常に薄く、デリケートな構造をしています。頻繁な吸啜刺激は、乾燥や摩擦によって皮膚のバリア機能を低下させ、傷つきやすくなります。

  • 乾燥とひび割れ:授乳と授乳の間に乳頭が乾燥したり、清潔に保たれていなかったりすると、ひび割れや亀裂が生じやすくなります。
  • カンジダ感染:稀に、乳頭の痛みや痒みが、カンジダ(真菌)感染によるものであることがあります。痛みは強く、チクチクとしたり、灼熱感があったりすることが特徴です。赤ちゃんの口の中(口腔カンジダ症)とママの乳頭の間で感染が往復することもあります。

3.乳管の詰まりや乳腺炎の初期サイン

乳首の痛みは、乳管の詰まりや乳腺炎の初期症状として現れることもあります。

  • 乳管の詰まり:特定の乳管が詰まると、その部分がしこりになり、痛みを感じることがあります。母乳の流れが滞ることで、乳頭にも負担がかかることがあります。
  • 乳腺炎:乳管の詰まりが悪化したり、細菌感染が起こったりすると乳腺炎になります。乳首の痛みだけでなく、乳房全体の痛み、赤み、熱感、腫れ、発熱、倦怠感などの症状が伴います。

これらの痛みの原因を理解し、適切な対処を行うことが、痛みを和らげ、快適な授乳を継続する鍵となります。

痛みを和らげ、乗り越える!具体的な対処法とセルフケア

乳首の痛みは、ママにとって大きな試練です。でも、諦める必要はありません。効果的な対処法と丁寧なセルフケアで、痛みは必ず和らげることができます。

1.何よりも「正しい吸い方」の確認と改善

痛みを根本から解決するためには、赤ちゃんの吸い方を改善することが最も重要です。必ず助産師に直接見てもらい、アドバイスを受けましょう。

  • 専門家に見てもらう:入院中はもちろん、退院後も、地域の保健センターや助産院、母乳育児相談室などで、助産師に授乳の様子を直接見てもらうのが一番です。抱き方、赤ちゃんの口の開け方、くわえさせ方、吸啜の様子などを細かくチェックし、適切な指導を受けましょう。
  • 「深くくわえさせる」意識
    • 赤ちゃんが口を大きく開けた瞬間に、乳頭だけでなく、乳輪の広い範囲(特に下側)まで深く含ませるように誘導します。
    • 赤ちゃんの鼻と乳房が当たるくらい密着させ、顎が乳房にしっかり触れているか確認しましょう。
    • 下唇が外側にめくれているか、吸う時に頬がへこんでいないかを確認しましょう。
  • 授乳姿勢の調整:ママと赤ちゃんが楽な姿勢で授乳できるかどうかも重要です。クッションなどを使って、ママの腕や肩への負担を軽減し、赤ちゃんをしっかりと支え、乳房に密着させましょう。

2.乳頭の保護とケア

傷ついた乳頭を保護し、治癒を促すためのケアは必須です。

  • ランシノーなどの乳頭保護クリーム:医療用ラノリン100%のクリーム(例:ランシノー、ピュアレーンなど)は、授乳のたびに塗布することで、乳頭の乾燥やひび割れを防ぎ、傷の治りを助けます。赤ちゃんが口にしても安全な成分なので、拭き取る必要はありません。
  • 母乳を塗布する:授乳後、乳頭に残った母乳を少し塗り広げ、自然乾燥させるのも効果的です。母乳には抗菌作用や傷の治癒を助ける成分が含まれています。
  • 清潔に保つ:授乳後は、清潔なコットンなどで優しく拭き取り、清潔に保ちましょう。ただし、石鹸でゴシゴシ洗う必要はありません。乾燥を防ぐためにも、洗いすぎは避けましょう。
  • 乳頭保護器(ニップルシールド):一時的に乳頭保護器を使用することで、痛みを軽減し、授乳を継続できる場合があります。ただし、乳頭保護器は赤ちゃんの吸い方や母乳分泌に影響を与える可能性があるため、助産師と相談して使用の要否を決めましょう。
  • 通気性を良くする:乳頭を締め付ける下着やパッドは避け、通気性の良いものを選びましょう。湿った環境は細菌感染の原因になることがあります。

3.痛みが強い時の対処法と休息

痛みがひどい時は、無理をせず、一時的な対処も検討しましょう。

  • 痛くない方から授乳する:痛みが少ない方の乳房から授乳を始め、母乳がスムーズに出始めたら痛い方に移す、という方法も有効です。
  • 搾乳で休ませる:痛みが非常に強く、授乳が困難な場合は、一時的に搾乳器や手搾りで母乳を出し、哺乳瓶で赤ちゃんに与えることで、乳頭を休ませる期間を作ることもできます。この際も、乳房を空にするためにこまめに搾乳することが重要です。
  • 痛み止め:医師や薬剤師と相談の上、授乳中でも安全な痛み止め(例:アセトアミノフェンなど)を使用することも検討できます。
  • 医療機関の受診
    • 乳頭の痛みが非常に強い、ひび割れが治らない、膿が出ている。
    • 乳房にしこりがある、赤みや熱感がある、発熱している(乳腺炎の可能性)。
    • 乳頭の痛みがチクチクする、痒い(カンジダ感染の可能性)。

    このような場合は、すぐに産婦人科や乳腺外科を受診しましょう。

  • 十分な休息:痛みはストレスを増大させます。ママが心身ともに疲れていると、痛みに敏感になったり、回復が遅れたりします。赤ちゃんが寝ている間にママも休息をとるなど、無理せず体を休ませましょう。

痛みを我慢しすぎず、適切なケアと休息で、母乳育児を継続できる道を探しましょう。

Q&A:母乳が吸われすぎて痛いに関するよくある疑問

Q1:乳頭保護器(ニップルシールド)は使うべきですか?メリットとデメリットを教えてください。

A1:乳頭保護器は、一時的に痛みを軽減し授乳を継続する助けになりますが、使用には注意が必要です。

  • メリット
    • 乳頭の痛みを軽減:傷ついた乳頭を直接的な摩擦から保護し、痛みを和らげます。
    • 授乳継続の助け:痛みが原因で授乳を諦めそうになっている場合、一時的に使用することで授乳を継続できるきっかけになります。
    • 陥没乳頭・扁平乳頭の補助:乳頭が扁平または陥没している場合に、赤ちゃんが吸い付きやすくなることがあります。
  • デメリット
    • 吸い方への影響:赤ちゃんが保護器に慣れてしまい、乳頭を直接吸うのを嫌がる「乳頭混乱」の原因になることがあります。
    • 母乳分泌への影響:保護器を使用することで、乳頭への刺激が減り、母乳分泌が低下する可能性があります。赤ちゃんが効率的に母乳を飲めず、体重増加が滞ることも。
    • 衛生管理:清潔に保たないと感染のリスクがあります。

**一時的な使用にとどめ、痛みが和らいだら徐々に保護器なしの授乳に戻していくのが理想的です。**必ず助産師に相談し、適切なアドバイスを受けて使用の要否と方法を決めましょう。

Q2:乳首のひび割れが治りません。どうすれば良いですか?

A2:ひび割れが治らない場合は、吸い方の改善と徹底した保護・ケア、そして感染症の確認が重要です。

  • 吸い方の再確認:最も重要な原因は不適切な吸い方です。再度助産師に授乳の様子を見てもらい、深く正しくくわえられているかを確認・修正しましょう。
  • 徹底した乳頭保護
    • 高純度ラノリンクリームの頻繁な塗布:授乳のたびに、惜しみなく塗布しましょう。乾燥を防ぎ、傷の治癒を促進します。
    • 母乳の塗布:授乳後、少量の母乳を乳頭に塗り広げ、自然乾燥させます。母乳には抗菌・治癒促進作用があります。
    • 通気性の確保:乳頭パッドや下着で蒸れないよう、通気性を良くし、湿潤環境を避けます。
  • 一時的な休息(搾乳):痛みが非常に強く、ひび割れが深くなっている場合は、一時的にその乳房からの授乳を休止し、搾乳で乳房を空にしながら、乳頭の治癒を優先させることも検討します。
  • 感染症の確認
    • 痛みが強い、灼熱感がある、痒い、白っぽいカスが付着しているなどの症状があれば、カンジダ感染の可能性があります。
    • 乳頭から膿が出ている、赤みや腫れが広がる場合は、細菌感染の可能性があります。

    これらの場合は、すぐに医療機関を受診し、適切な治療薬を処方してもらいましょう。

ひび割れは放置すると悪化し、乳腺炎の原因にもなりかねません。早めの対処と専門家への相談が重要です。

Q3:授乳のたびに痛いのですが、痛くても授乳を続けた方が良いのでしょうか?

A3:基本的には継続が望ましいですが、痛みが激しい場合は無理せず、一時的な対処も検討しましょう。

  • 継続の重要性:赤ちゃんが乳房を吸う刺激は、母乳分泌を確立・維持するために不可欠です。痛いからといって授乳を中断しすぎると、母乳分泌量が減少したり、乳腺炎になったりするリスクがあります。
  • 痛みの対処が最優先:しかし、痛みを我慢しすぎると、ママの心身に大きな負担がかかり、ストレスから母乳の出が悪くなる可能性もあります。無理に痛みを我慢して授乳を続けるのではなく、痛みの原因を特定し、適切な対処を行うことが最優先です。
  • 一時的な対処
    • 痛みが少ない方の乳房から授乳を始める。
    • 一時的に搾乳器や手搾りで母乳を出し、哺乳瓶で与えることで乳頭を休ませる。
    • 医師と相談して、授乳中でも安全な痛み止めを使用する。
    • 乳頭保護器を一時的に使用する。

    これらの方法を一時的に活用しながら、痛みの原因を改善し、再び直接授乳に戻れるように努めましょう。

ママの心と体の健康が、母乳育児を長く続ける上で最も重要です。一人で我慢せず、専門家に相談しましょう。

Q4:乳首の痛みが長引くと、どんなリスクがありますか?

A4:痛みが長引くと、母乳育児の継続が困難になるだけでなく、様々な合併症のリスクが高まります。

  • 母乳分泌量の減少:痛みのために授乳回数や時間が減ったり、赤ちゃんがうまく吸えなくなったりすることで、乳房からの母乳除去量が減り、母乳分泌量が低下します。
  • 乳腺炎のリスク:母乳が乳房に滞留しやすくなり、細菌感染を起こして乳腺炎になるリスクが高まります。乳腺炎になると、乳房の強い痛み、赤み、腫れ、熱感、発熱などの症状が現れ、場合によっては抗生物質が必要になります。
  • カンジダ感染の慢性化:乳頭のカンジダ感染が治療されないまま長引くと、痛みが慢性化し、赤ちゃんにも感染が広がる可能性があります(口腔カンジダ症)。
  • 精神的ストレスの増大:授乳のたびに痛みがあることは、ママに大きな精神的ストレスを与えます。これが育児の負担感を増し、産後うつや育児放棄に繋がるリスクもゼロではありません。
  • 乳頭の慢性的な損傷:繰り返される損傷は、乳頭の変形や瘢痕化を引き起こし、将来的な授乳にも影響を与える可能性があります。

痛みを放置せず、早期に適切な対処を行うことが、これらのリスクを避ける上で極めて重要です。

Q5:乳首の痛みは、いつ頃まで続くのが一般的ですか?

A5:一般的に、乳首の痛みは産後数日から1〜2週間程度で落ち着くことが多いです。

  • 初期の痛み:出産後すぐの時期は、赤ちゃんが初めて乳頭を吸う刺激に体が慣れていないため、多少の痛みや違和感を感じるのは正常です。この痛みは、正しい吸い方ができていれば、通常数日から1週間程度で徐々に和らいでいきます。
  • 長引く痛みの原因:もし痛みが1〜2週間以上続くようであれば、
    • 不適切な吸い方(ラッチオンの問題):これが最も一般的な原因です。
    • 乳頭の傷やひび割れ:なかなか治癒しない場合。
    • 乳腺炎や乳管の詰まり。
    • カンジダ感染症。
    • その他、乳腺のトラブルや、赤ちゃんの吸啜力の問題など。

    これらの原因が考えられます。

痛みが長引く場合は、「よくあることだから」と我慢せず、必ず助産師や医師に相談し、原因を特定して適切なケアを受けることが大切です。

まとめ:ママ、その痛みは「頑張っている証」。あなたの体が癒されるまで、私たちが支えます。

新米ママさん、「母乳が吸われすぎて痛い」というお悩み、本当に辛いですよね。授乳のたびに奥歯を食いしばるような痛み、ひび割れて血がにじむ乳首を見て、「もう、やめたい…」と思ったことも一度や二度ではないでしょう。でも、どうか思い出してください。その痛みは、あなたがどれだけ頑張って、可愛い赤ちゃんのために授乳を続けているかの「頑張りの証」です。あなたは、本当に素晴らしいママです。

「この痛み、いつまで続くんだろう」「私だけこんなに痛いのかな」と、孤独を感じていませんか?でも、大丈夫。乳首の痛みは、多くのママが経験することです。そして、その痛みのほとんどは、適切なケアと、赤ちゃんの吸い方を少し見直すだけで、必ず和らげることができます。

もし今、あまりにも痛くて、授乳が憂鬱でたまらないなら、どうか無理しないでください。痛みは、体からの「助けて」というサインです。まずは、助産師さんに連絡してください。あなたの乳首の状態を見てくれたり、赤ちゃんの吸い方をじっくりチェックしてくれたり、そして何より、「痛くて辛いね」とあなたの気持ちに寄り添ってくれるはずです。一人で抱え込まず、「私、もう限界なんです」と、素直に打ち明ける勇気を持ってみてください。

痛みがひどい時には、無理に直接授乳を続けなくても大丈夫です。一時的に搾乳して赤ちゃんにミルクや搾乳した母乳をあげることもできますし、乳頭保護クリームをたっぷり塗って乳頭を休ませてあげることもできます。少しでも痛みが和らぐ方法を試しながら、あなたの体が癒されるまで、焦らずにケアを続けていきましょう。

あなたの笑顔が、赤ちゃんの最高の栄養になることを、どうか忘れないでください。痛みを乗り越えて、また赤ちゃんとの幸せな授乳の時間を迎えられるよう、私たちは全力であなたを支えます。あなたは一人ではありません。安心して、私たちを頼ってくださいね。

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