出産後、慣れない育児で大変な中、授乳のたびに立ちくらみがすると不安になりますよね。
「授乳後に立ち上がるとクラっとするけど、これって大丈夫かな…」と感じている方もいるでしょう。
「赤ちゃんのお世話で休む暇もないのに、倒れたらどうしよう…」と心配になるのも無理はありません。
産後の立ちくらみには、いくつかの原因が考えられます。
まずはご自身の体の状態を正しく理解し、適切な対処法を知ることが大切です。
この記事では、産後の授乳中に立ちくらみの症状でお悩みの方に向けて、
- 産後に立ちくらみが起こる主な原因
- 授乳が体に与える影響と立ちくらみとの関係
- 日常生活でできる簡単な対処法と予防策
上記について、解説しています。
産後の体は、あなたが思っている以上にデリケートな状態です。
この記事を読めば、立ちくらみの原因と具体的な対策がわかり、安心して育児に臨めるようになります。
ぜひ参考にしてください。
産後の立ちくらみの原因を知ろう
産後のつらい立ちくらみは、出産を終えた多くのママが経験する体のサインです。
「自分だけなのかな?」と不安に感じるかもしれませんが、決して特別なことではありません。
出産による体の大きな変化と、慣れない育児による負担が原因で起こる、ごく自然な反応なのです。
その主な原因として、「貧血」「水分不足」「睡眠不足」の3つが挙げられます。
出産時の出血に加え、授乳によって体内の鉄分や水分が赤ちゃんに移行するため、ママの体は栄養が不足しがちな状態です。
さらに、赤ちゃんのお世話で細切れの睡眠しか取れないことも、自律神経のバランスを乱し、血圧のコントロールを難しくさせてしまうでしょう。
具体的には、授乳によって1日に約700mlもの水分が失われると言われています。
これは500mlペットボトル1.5本分に相当し、意識的に水分を摂らないと脱水状態に陥りやすいことがわかります。
また、厚生労働省の食事摂取基準でも授乳婦は鉄分の付加が推奨されており、貧血になりやすい時期であることは明らかです。
産後のホルモンバランスの変化
出産を終えた女性の体では、妊娠を維持するために大量に分泌されていたホルモンバランスが劇的に変化します。特にエストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)は、胎盤が排出されると同時に妊娠前の数値まで一気に減少してしまうのです。
この急激すぎる変化に体が追いつかず、血圧や心拍数を自動で調整する自律神経が乱れやすくなります。自律神経の働きが不安定になると、座った状態から急に立ち上がった際などに血圧のコントロールがうまくできず、脳への血流が一時的に不足して立ちくらみを引き起こすことがあるでしょう。さらに授乳期は、母乳を作るために多くの水分と鉄分をはじめとする栄養素が母体から使われます。そのため、脱水や貧血に陥りやすい状態であり、ホルモンバランスの乱れと相まって立ちくらみの症状をより感じやすくなるのです。
授乳による睡眠不足の影響
産後の授乳は、特に新生児期において2~3時間おきに必要となるため、多くの母親が深刻な睡眠不足に陥りがちです。夜間も続く頻回な授乳によって、6時間以上のまとまった睡眠時間を確保することは極めて困難になるでしょう。このような慢性的な睡眠不足は、心身のバランスを調整している自律神経の働きを著しく乱す大きな原因となります。自律神経は血圧をきめ細かくコントロールする重要な役割を担っているため、その機能が低下すると、急に立ち上がった際に脳への血流が不足しやすくなるのです。この状態がいわゆる起立性低血圧であり、産後のつらい立ちくらみの直接的な引き金になるケースも少なくありません。1日に8回以上にもなる授乳で細切れの睡眠しか取れない状況は、想像以上に身体へ大きな負担をかけています。単なる寝不足と軽視せず、身体からのSOSとして立ちくらみを捉える視点が大切です。
鉄分不足による貧血のリスク
産後の授乳期は、出産による出血に加え、母乳を通じて赤ちゃんへ多くの鉄分を分け与えるため、お母さんの体は鉄分が極度に不足しやすい状態に陥ります。母乳から赤ちゃんに移行する鉄分は1日約0.3mgにもなり、自身の鉄分貯蔵量はどんどん減少していくのです。この鉄分不足が進行すると、全身に酸素を運ぶヘモグロビンが作れなくなり「鉄欠乏性貧血」を発症するリスクが高まります。貧血のサインとして、急な立ちくらみやめまい、倦怠感、動悸などが現れるでしょう。厚生労働省の食事摂取基準(2020年版)では、授乳婦は1日あたり2.5mgの鉄分付加が推奨されており、月経が再開している場合は合計13.0mgもの摂取が必要になります。放置すれば育児への意欲や体力の低下にも繋がりかねません。
授乳中に注意すべき健康管理
授乳中の健康管理は、赤ちゃんの健やかな成長に直結するため、いつも以上に意識することが大切です。
特に、立ちくらみのような症状は、あなたの体が発している重要なサインかもしれません。
ご自身の体を労わることは、赤ちゃんを守ることにもつながるのです。
なぜなら、母乳は約90%が水分で構成されており、ママの血液から作られているからです。
授乳によって1日に約700mlから1,000mlもの水分と、鉄分やカルシウムといった多くの栄養素が赤ちゃんへ移行します。
そのため、ママ自身の体は水分不足や栄養不足に陥りやすく、これが貧血や脱水を招き、立ちくらみの直接的な原因となるケースは少なくありません。
このように、授乳はママの体に大きな影響を与えます。
具体的にどのような健康管理を心がければ、立ちくらみを防ぎ、元気に育児と向き合えるのでしょうか。
食事や水分補給、生活習慣のポイントが存在します。
以下で詳しく解説していきます。
栄養バランスを意識した食事
産後のつらい立ちくらみには、授乳による鉄分不足が大きく関係しています。母乳を通じて赤ちゃんに栄養を届けるため、お母さんの体は多くの鉄分を消費するのです。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、授乳中の女性は1日に8.5mgから10.5mgもの鉄分摂取が推奨されています。この不足しがちな鉄分を補うには、吸収効率の良いヘム鉄を豊富に含むレバーや赤身肉、カツオなどを食事に取り入れてください。ほうれん草や小松菜に含まれる非ヘム鉄は、ビタミンCが豊富なピーマンやブロッコリーと一緒に摂ることで吸収率が向上します。また、血液を作るのに欠かせない葉酸(枝豆や納豆)やビタミンB12(あさりやしじみ)も、併せて意識的に摂取することが大切でしょう。授乳中は水分も失われやすいので、こまめな水分補給も忘れないようにしましょう。
適度な休息とストレス管理
産後の体は、出産によるダメージとホルモンバランスの急激な変化で非常にデリケートな状態です。特に、1日に何度も行う授乳は、お母さんの体力と水分を想像以上に消耗させ、貧血や脱水による立ちくらみを引き起こす一因になります。赤ちゃんの世話で休む暇もないかもしれませんが、赤ちゃんが寝ているときは家事の手を止め、一緒に体を休める時間を確保しましょう。たとえ15分でも横になるだけで、心身の回復には大きな違いが出るものです。また、育児のプレッシャーによるストレスは自律神経を乱し、血圧の変動を招いて立ちくらみを悪化させることもあります。夫や家族はもちろん、地域のファミリーサポートセンターのような公的サービスも積極的に活用し、週に1時間でも自分のための時間を作ることが大切でしょう。無理をせず、周囲に助けを求める勇気が、この時期の立ちくらみを乗り越える鍵となります。
産後の立ちくらみの対策方法
産後のつらい立ちくらみは、日々の少しの工夫で和らげることが可能です。
忙しい育児の合間でも、栄養バランスの整った食事とこまめな水分補給、そして何よりゆっくりとした動作を意識することが大切になります。
まずはあなたの体をいたわることから始めてみましょう。
出産による出血や授乳によって、産後の体は鉄分や水分が想像以上に不足しがちな状態です。
特に授乳中は母乳を作るために多くの水分が使われるため、脱水症状に近い状態になりやすく、血圧が不安定になることで立ちくらみを引き起こしてしまうと考えられています。
赤ちゃんのお世話で自分のことは後回しになりがちな方も多いでしょう。
具体的には、食事でほうれん草やレバー、ひじきといった鉄分を多く含む食材を積極的に摂ってください。
また、授乳の前後には必ずコップ1杯の水を飲む習慣をつけ、1日合計で2リットルを目安に水分を補給するのも効果的でしょう。
ベッドから起き上がる際は、急に立ち上がらずに一度座って一呼吸おくなど、動作をゆっくり行うだけでも体への負担は大きく変わります。
鉄分を多く含む食品を摂取
授乳期は母乳を通して赤ちゃんに多くの栄養を届けるため、お母さん自身の鉄分が不足しがちになります。この鉄欠乏が、産後のつらい立ちくらみを引き起こす一因となるでしょう。食事から意識的に鉄分を補給することが、体調管理の鍵を握ります。鉄分には、吸収率に優れた動物性の「ヘム鉄」と、植物性の「非ヘム鉄」の2種類が存在します。ヘム鉄は牛レバーや赤身肉、カツオやマグロといった赤身魚に豊富に含まれる栄養素です。一方、ほうれん草や小松菜、ひじき、大豆製品に含まれる非ヘム鉄は、ビタミンCや動物性たんぱく質と組み合わせることで吸収効率が格段に向上します。例えば、あさりの味噌汁に小松菜を入れたり、赤パプリカのようなビタミンCが豊富な野菜と肉を炒めたりする工夫も有効でしょう。日々の献立にこれらの食材を上手に組み込んで、鉄分不足を解消していきましょう。
簡単にできるリラックス法
授乳や育児の合間に実践できる簡単なリラックス法は、産後の心と体の回復を助けてくれます。特に自律神経のバランスが乱れやすい時期なので、意識的な休息が立ちくらみの予防にもなるのです。まずおすすめなのが、椅子に座ったままできる腹式呼吸。鼻から4秒かけて深く息を吸い込みお腹を膨らませ、口から8秒かけてゆっくり吐き出すことを5回ほど繰り返すだけで、心身の緊張が和らぐのを実感できるでしょう。また、授乳で凝り固まりがちな首や肩をゆっくり回すストレッチは、血行を促進し気分転換に最適。ティッシュにラベンダーの精油を1滴垂らして香りを吸い込む方法や、ノンカフェインのルイボスティーで体を内側から温めることも、手軽にできるリフレッシュ法といえます。わずか5分でも自分のための時間を作り、上手に心身をケアすることが大切です。
産後の健康に関するよくある質問
産後の体調について、立ちくらみ以外にも様々な疑問や不安を抱えている方は少なくありません。
「こんな症状は私だけ?」と一人で悩んでしまうかもしれませんが、多くのママが同じような経験をしています。
ここでは、産後の健康に関してよく寄せられる代表的な質問とその考え方について解説します。
出産という大仕事を経た体は、全治2ヶ月の交通事故に遭ったのと同じくらい大きなダメージを受けていると言われることもあります。
その回復過程にある中で、24時間体制の育児がスタートするため、心身ともに不安定になりがちです。
ホルモンバランスの急激な変化も相まって、これまで感じたことのない不調に戸惑うのは自然なことでしょう。
具体的には、「産後の抜け毛はいつ頃落ち着くの?」といった見た目の変化に関する質問は非常に多いです。
また、「授乳中に風邪薬は飲んでも平気?」「骨盤ケアはいつから、どんな方法で始めるのが効果的?」など、赤ちゃんとご自身の健康に関わる具体的な生活の疑問もよく見受けられます。
産後の立ちくらみはいつまで続く?
産後の立ちくらみがいつまで続くのか、多くのママが不安に感じることでしょう。この症状が落ち着く時期には個人差が大きく、一概には断定できません。一般的には、体が妊娠前の状態に戻る産褥期、つまり産後6〜8週間ほどで軽快するケースが多いとされます。しかし、授乳による鉄分不足が原因で、症状が長引くことも少なくないのです。母乳は血液から作られるため、1日に500ml以上も授乳していると、多くの鉄分が赤ちゃんへ移行してしまいます。分娩時の出血による貧血や、ホルモンバランスの乱れによる自律神経の不調も立ちくらみを引き起こす要因となります。育児による慢性的な睡眠不足が重なり、数ヶ月から1年以上症状が続くケースも珍しくありません。もし症状が長引く、あるいは日常生活に支障が出るほどひどい場合は、婦人科や内科で一度相談することをおすすめします。
授乳中の貧血に効果的な食事とは?
授乳中は母乳を通じて赤ちゃんに栄養を届けるため、お母さんの体は鉄分が不足しがちになり、立ちくらみを起こしやすくなるのです。この時期の貧血対策には、鉄分を豊富に含む食事が欠かせません。特に吸収率の高いヘム鉄を多く含む、牛レバーや豚レバー、牛肉の赤身、カツオやマグロの赤身などを積極的に取り入れると良いでしょう。また、ほうれん草や小松菜、ひじきなどに含まれる非ヘム鉄は、ビタミンCと一緒にとることで吸収率の向上が期待できます。食後にキウイフルーツや柑橘類を食べるのもおすすめです。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、授乳婦は1日あたり8.5mgの鉄分を余分に摂ることが推奨されており、毎日の献立で意識することが求められます。例えば、赤身肉とピーマンの炒め物や、あさりのみそ汁なども効果的なメニューといえるでしょう。
立ちくらみが危険な場合とは?
産後の立ちくらみは、単なる貧血や疲れだけが原因とは限りません。もし、立ちくらみと同時に激しい頭痛やめまい、手足のしびれ、ろれつが回らないといった症状が現れた場合、脳の疾患も考えられるため注意が必要でしょう。また、胸の痛みや動悸、息切れを伴うケースは、産後心筋症など心臓に関わる病気の可能性も否定できないのです。授乳中に意識を失って転倒すれば、赤ちゃんを巻き込む大事故にもつながりかねません。立ちくらみが頻繁に起こる、安静にしても症状が軽くならないなど、「いつもと違う」と感じたら決して自己判断せず、速やかに産婦人科や内科を受診してください。早期の対応が、あなたと大切な赤ちゃんを守ることにつながります。
まとめ:辛い産後の立ちくらみは、正しい知識で改善できます
今回は、授乳中のつらい立ちくらみにお困りの方に向け、
- 産後に立ちくらみが起こる主な原因
- 日常生活でできる簡単な対処法
- 医療機関を受診した方が良いケース
上記について、解説してきました。
産後の立ちくらみは、多くの場合、授乳による水分不足や鉄分不足、睡眠不足が原因です。
赤ちゃんに栄養を与えることで、お母さんの体には大きな負担がかかっているためでしょう。
育児に追われる中で、ご自身の体調まで管理するのは本当に大変なことと思います。
もし頻繁に立ちくらみが起こるようでしたら、それは体からの大切なサインかもしれません。
まずはご自身の体をいたわることを優先してください。
毎日赤ちゃんのお世話を一生懸命していることは、本当に素晴らしいことです。
その頑張りが、時として体調の変化として現れることもあります。
しかし、原因を理解して正しく対処すれば、この辛い症状はきっと改善していきます。
少しずつ体調が整い、穏やかな気持ちで育児を楽しめる日が来るはずです。
まずは食事や水分補給を見直し、無理のない範囲で休息を取ることから始めてみましょう。
筆者は、あなたの健やかな毎日を心から応援しています。