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【産後ママへ】「ダル重い…」それ、鉄分不足かも?原因と回復のための過ごし方ガイド

出産という大仕事を終え、昼夜問わない赤ちゃんのお世話に追われる日々。「なんだか体がダルいな…」「立ちくらみがするな…」「いくら寝ても疲れが取れないな…」と、心身ともにヘトヘトになっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

産後の体は、回復にエネルギーが必要な上に、育児による睡眠不足や疲労が重なり、非常に疲れやすい状態です。そんな産後のつらい体調不良の、実は隠れた原因の一つに「鉄分不足」があることをご存知でしょうか?

この記事では、なぜ産後ママは鉄分が不足しやすいのか、鉄分不足によって体にどんなサインが現れるのか、そして回復のために今日からできることを、あなたのつらい気持ちに優しく寄り添いながら、分かりやすくお伝えします。

「ダル重い…」を少しでも和らげ、元気に育児に取り組むためのヒントを見つけてくださいね。

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なぜ産後ママは鉄分不足になりやすいの?

産後のママは、妊娠していない時に比べて、鉄分が不足しやすい特別な状態にあります。その主な原因は以下の通りです。

  • 出産時の出血: 正常な分娩でも、出産時にはある程度の出血があります。この出血によって、体内の鉄分が失われます。帝王切開や、分娩時の出血量が多かった場合は、より多くの鉄分が失われます。
  • 妊娠中の鉄分貯蔵の枯渇: 妊娠中は、赤ちゃんに優先的に鉄分が送られるため、ママの体内の鉄分貯蔵(貯蔵鉄)は減少しやすいです。出産時には、その貯蔵が少ない状態になっていることがあります。
  • 母乳への鉄分の移行: 母乳育児をしている場合、母乳を通して赤ちゃんに鉄分が送られます。ママが十分に鉄分を摂れていないと、ママ自身の鉄分がさらに不足してしまいます。
  • 産後の食事の変化: 育児に追われて自分の食事がおろそかになったり、バランスの偏った食事になったりすることで、鉄分を十分に摂取できていないことがあります。

これらの要因が重なり、産後ママは鉄分不足、ひいては貧血になりやすいのです。

要チェック!産後ママの鉄分不足による主なサイン(症状)

産後の鉄分不足は、様々な体の不調として現れます。「これって産後の疲れかな?」と思っている不調も、実は鉄分不足が関係しているかもしれません。以下のようなサインがないか、チェックしてみましょう。

体のサイン 具体的な状態 鉄分不足との関連
強い疲労感・倦怠感 ・いくら寝ても疲れが取れない
・体がダルくて重い
・起き上がるのがつらい
(→産後の倦怠感の記事も参考に)
体に酸素を運ぶヘモグロビンの材料である鉄分が不足すると、細胞に酸素が行き渡りにくくなり、エネルギー不足となり強い疲労感を感じます。
めまい・立ちくらみ ・急に立ち上がった時にクラっとする
・目の前が暗くなる
脳への酸素供給が一時的に不足することで起こります。貧血の代表的な症状です。
顔色が悪い、青白い ・唇や歯ぐき、爪の根元などが白っぽい 血液中のヘモグロビンが減ることで、血色がなくなります。
息切れ・動悸 ・少し動いただけでも息が切れる
・心臓がドキドキする
体が酸素不足を補おうとして、呼吸や心臓の動きを速めるために起こります。
頭痛 ・重い、ズキズキするなど、様々なタイプの頭痛。 脳への酸素供給不足が原因の一つと考えられています。
冷え性 ・手足が冷たい
・体全体が冷えやすい
血行が悪くなることや、体温調節機能に影響が出ることが関係しています。
むずむず脚症候群 ・夜、寝ている時に足に不快な感覚(むずむず、かゆいなど)があり、足を動かしたくなる。 鉄分不足が原因の一つとして知られています。
爪がもろい、割れやすい 鉄分は健康な爪の形成にも関わるため、不足すると影響が出ることがあります。
髪の毛が抜けやすい 産後の抜け毛はホルモンの影響も大きいですが、鉄分不足も影響することがあります。
集中力の低下、イライラ 脳機能への影響や、体調不良からくる精神的な不調。
免疫力の低下 ・風邪を引きやすい、治りにくい。 鉄分は免疫機能にも関わるため、不足すると免疫力が低下する可能性があります。

これらのサインに心当たりがある場合、鉄分不足の可能性があります。

「ダル重い…」を改善!鉄分不足の回復のための過ごし方と治療

産後の鉄分不足や貧血を改善し、つらい症状を和らげるためには、体からのサインに気づき、適切な対応をとることが大切です。

1.まずは医療機関に相談を!

「鉄分不足かな?」と思ったり、上記のサインに心当たりがあったりする場合は、必ずかかりつけの医療機関(産婦人科や内科)に相談してください。 採血による検査で、鉄分が不足しているか、貧血かどうかを正確に診断してもらえます。

鉄分不足や貧血の診断と治療は、必ず医師の指示のもとで行うことが重要です。自己判断での市販薬の服用や、過剰な鉄分摂取は避けてください。

2.鉄分をしっかり摂る食事

鉄分を多く含む食品を意識して食事に取り入れましょう。食事からの鉄分摂取は、体への負担も少なく、他の栄養素も同時に摂れるため重要です。

  • ヘム鉄(動物性食品):
    肉(特に赤身肉、レバー)、魚(かつお、まぐろなど)、卵黄などに多く含まれます。体に吸収されやすいのが特徴です。
  • 非ヘム鉄(植物性食品):
    ほうれん草、小松菜、ひじき、大豆製品(豆腐、納豆)、プルーン、レーズンなどに多く含まれます。ヘム鉄に比べて吸収率は低いですが、ビタミンCと一緒に摂ることで吸収率がアップします。

バランスの良い食事を心がけ、鉄分だけでなく、体の回復に必要なタンパク質やビタミン、ミネラルもしっかり摂りましょう。

(→【産後の食事】体の回復と母乳のために!ママに必要な栄養と献立のヒントも参考に)

3.医師の指示による鉄剤の服用

採血の結果、鉄分が著しく不足している場合や、貧血が進行している場合は、食事だけでは追いつかないため、医師から鉄剤(飲み薬や注射)が処方されます。鉄剤を服用すると、比較的早期に症状の改善が期待できます。

鉄剤は、必ず医師の指示された量と期間を守って服用してください。 胃の不快感や便秘などの副作用が出る場合もありますが、その場合は医師に相談しましょう。勝手に服用を中止したり、量を調整したりしないでください。

4.十分な休息と睡眠

鉄分不足の改善と並行して、体の回復と疲労軽減のためには、休息と睡眠が不可欠です。赤ちゃんが寝ている時にママも休む、パートナーや家族に協力してもらうなど、意識的に休息時間を確保しましょう。

育児や家事をやっているとストレスも抱えやすく、きがつくと自分のことは後回しで睡眠不足に陥っていることも多くなります。授乳期など特に睡眠不足はあるのですが、少しの時間でも睡眠時間を確保して、産後のダメージを負った体を回復するようにしましょう。

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まとめ:ダルさは体のサイン。専門家に相談して回復を目指そう

産後のつらい倦怠感や体調不良の背景には、鉄分不足が隠れていることがあります。出産時の出血や妊娠中の貯蔵の減少、母乳への移行など、産後ママは鉄分不足になりやすい特別な状態にあります。

鉄分不足のサイン(疲労感、めまい、顔色の悪さなど)に気づいたら、自己判断せず、必ず医療機関に相談し、正確な診断と適切な治療(食事療法や鉄剤の服用)を受けてください。

鉄分を補給し、十分な休息をとることで、つらい症状が和らぎ、体が回復し、もっと元気に育児に取り組めるようになるはずです。

一人で抱え込まず、周りのサポートも借りながら、あなたの体の回復を最優先に考えて過ごしてくださいね。心から応援しています!

(参考:

誠心堂薬局 漢方の考えから見た産後の貧血について

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