子供のころ、みなさんはどんな冒険をしましたか?大人になってから振り返るとなんでもないちょっとしたことも冒険に感じてわくわくしたり、輝いた時間を過ごしたりしませんでしたか?
今回紹介する絵本は「はっぱのおうち」。
子供にとっては大冒険であっても、大人になるとなんてことないことってありますよね。目を輝かせてこんなことあったんだよって子供がいってきても、ママは「そう・・・。」で終わらせることもあると思いますが、子供にとっては毎日が大冒険だったりします。
このはっぱのおうちも、小さな大冒険を感じさせる素敵な絵本なんですよ。
はっぱのおうちってどんな絵本?
征矢清・作
林明子・絵
出版社・福音館書店
発行日・1989年05月
子供のさちが、突然の雨ではっぱのおうちに雨宿りすることに。
するといろんなお客様がやってきます。そのお客様というのは小さな虫たち。
小さな虫とさちとの交流を雨がやむまでの時間、さちの豊かな感情溢れる話し方や表情とともに描かれています。
田舎だと当たり前のような虫たちですが、都会でも小さな子供は虫たちに対する興味は深々のはず。
そんな子供たちのかけがえない、そして少し非日常的なシーンが子供の心にどう見られていくのか。そんな素敵な感想を多くの方が抱く絵本です。
はっぱのおうちを読み聞かせした方の声
主人公の女の子、さちが外で遊んでいると、突然ポツリポツリと雨が降りはじめます。しかしさちは、「でも、へいき。さちにはかくれるおうちがあるんだから」と、慌てることなく、はっぱのおうちに行きます。そこは葉っぱが重なり合ってできた、さちの特別な場所です。
ちょこんと座って雨やどりをするさちの足元には、小さなちりとりとほうきが描かれています。普段からここでおままごとをしているのかもしれません。そこへ雨やどりをしに、いろんな虫がやってきます。かまきりにちょうちょ、こがねむし、てんとうむし、パンをくわえたアリもやってきます。
一番はじめに現れたかまきりには驚いて、「あっち向いてて!」と怖がったさちですが、次々にやってくる虫たちを受け入れ、みんなが雨に濡れないように「こっちにおいで。」とはっぱのおうちへ招き入れます。
「みーんな、おんなじうちのひとみたい」と笑顔でみんなに語りかけるサチの姿に、ほっこりとした気持ちにさせられます。最後には雨が上がってあたりが明るくなり、「みんな、お母さんが待っているほんとのおうちへ帰ろう」とはっぱのおうちを後にします。この絵本は林明子さんがイラストを手掛けているのですが、彼女の描く優しいイラストと幼いこどもらしくクルクルと表情が変わる、かわいいさちが印象的な絵本です。さちは気が付いていないかもしれませんが、かまきり、ちょうちょ、こがねむし、てんとうむし、あり以外にもはっぱのおうちに雨やどりにきている生き物がいます。「〇〇どこだ??」と、文章には出てこない生き物を探しながら読んでも、面白いと思います。
この絵本をわたしのこどもに読んでみると、自分と同じぐらいの女の子が出てくるからか、じっとイラストを見つめて、お話を聞いていました。雨がポツポツ降ってくるところでは、文章に合わせて鼻やおでこをツンと軽くついて読むと、本人も自分で自分をツンツンさわって遊んでいます。はっぱのおうちのシーンでは、どこにどんな生き物がいるか探し合いっこをしたりしても楽しいです。また、こども自身が見たことがある生き物が出てくると、「これ、知ってる!」と一生懸命教えてくれます。私自身、こどもの頃にこの絵本を読んでもらい、自分の家にもこんな素敵なはっぱのおうちがあったらいいのに、と思ったことを覚えています。雨に濡れる緑のはっぱがとてもきれいに描かれていて、読んでいる方も穏やかな気持ちになります。
子供のころ、秘密基地を作ったとか、大人に内緒であんなところに行ったんだという経験はきっとみんなもっているはず。些細なことかもしれないけれど、子供にとっては大切な思い出なんですね。
大人になってもそんな素敵な冒険心、好奇心、ずっと持っていたいですね。