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子供に読んであげたい絵本シリーズの第8弾│せかいいちうつくしいぼくの村

年末にお送りします、子供に読んであげたい絵本シリーズです!絵本シリーズは今回が今年最後になると思います♪

そんな2018年最後に紹介する絵本はかなり悩みました。2018年の漢字一文字は「」になりました。

全国的な地震や豪雨などの災害で停電や農作物への被害も多く出ました。スポーツ団体やアイドルなどの不祥事やパワハラ、セクハラ、暴力事件。まるで世界の中でも安全な句人代表とまで言われている私たちの日本が、どんどん変わっていくような感覚を覚えたのは私だけではないのではないでしょうか。

やはり年末はその年のことをたくさん振り返って、いろいろな思い出を思い出したいところなのですが、やはり2018年は少し疲れが出たような感じがあります。

そんなことを考えつつ、今回紹介したい絵本を悩んで決めたのが、「せかいいちうつくしいぼくの村」です。みなさんはご存知でしょうか?少し難しい絵本になるのですが、考えられる内容に大人も考えることができ始める時期の子供にも読んでもらいたい絵本です。

作・絵:小林 豊
出版社:ポプラ社
発行日:1995年12月

せかいいちうつくしいぼくの村ってどんな絵本?

舞台はアフガニスタンの村です。なかなか子供にアフガニスタンを教えるのは難しいかもしれませんが、世界が日本だけではない。日本では当たり前の世界が当たり前ではない世界があるということを教えてあげるのにいいかも。


兄が戦争に行っているので、ロバとお父さんと一緒に小さな主人公のヤモが町に果物を売りに出かけ、果物を売ったお金で子ヤギを購入して村に戻っていきます。
素敵な水彩のイラストがやさしく描かれるのですが・・・最後に大逆転の展開が。

絵本としてはなかなか戦争をテーマにするのは難しいのですが、文字としては書かれていなくて、イラストをよく見ると戦争のテーマが浮き彫りになっていく。そんな絵本なんです。
年齢に応じてどうこの絵本をうけとるのかは変わってくると思います。
戦争を知らない世代や、知ってはいるけど詳しくまで知ろうとしないというのは、後世に残していくものまで変わってきます。

大ヒット漫画、ワンピースでもドフラミンゴというキャラが
「”平和”をしらねぇ子供共と”戦争”をしらねぇ子供共との価値観は違う!!!」
と言っています。

絵本で戦争なんてという批判もあると思います。しかし、わたしは知ったうえでそのあと子供がその先に選ぶ人生を私たち大人が作り出してほしいと思っているんです。

せかいいちうつくしいぼくの村を読み聞かせさせた方の体験談

作者はアフガニスタンにこの絵本を書くための取材に行ったそうです。
この舞台も同じでしょうか、兄さんが戦争に行ったので、小さいヤモは父さんとロバのポンパート町へスモモやサクランボを売りに行きます。
その売れたお金で子羊を買う為です。
この絵本の景色は実に美しいです。砂漠の町が舞台ですが、砂漠だって色彩に溢れています。
赤、黄、緑、青、白と、刻々と変わる砂漠の姿、色。
人々は素朴で、皆、ニコニコと笑って描かれています。温かい、人々のぬくもりが伝わってきます。
砂漠という異国の地も、どこか懐かしいような、親しみのある描写がされています。


そして、スモモやサクランボは売れて、行きの時にサクランボの入っていた籠に子羊を入れて帰ってきます。
帰り道。夕日に染まる景色が息をのむ美しさです。モスクのシルエットも美しいです。
良い一日だった、ということがすぐ想像できます。
子供もじっとこの景色に見入っていました。きっと、心は遥か彼方の絵本の舞台の町にいたのでしょう。
ヤモは子羊に、「春」という意味の「ハバール」という名をつけます。春に帰ってくる予定の兄さんを待ちます。
ですが…。
冬にこの美しい小さい村は戦争で破壊されてしまうのです。
大人でも、砂漠、と聞くと、実際に訪れたことのない人は、何もない痩せた大地を想像します。
戦争の舞台、というと、住む人々の心も荒んでいる、と思ってしまうかもしれません。
ですが、作者のあとがきにもあるように、作者はアフガニスタンでは誠実な人たちと友達になり、そこは美しい自然がいっぱいであると書いています。
この絵本は、真実を知ることがどんなに大切か、を教えてくれます。


真実、とは戦争の被害者が小さな子供や、誠実な心を持った一般人であること。
破壊されてしまった地域もまた、そこに住む人々の営みがあり、彼らの故郷でもあり、彼らが世界一美しいと誇れる地であること。
この絵本の最後の文章が心に刺さります。
子供も、最後の結末にショックを受けたようです。
それまでが平和で美しかったから、余計にその対比が心に響いてきます。
戦争とは何か。歴史を知る、とか国際情勢のニュースは子供にはまだ理解できません。
ですが、子供は絵本の中の小さいヤモと友達になって、小さいヤモを思うことによって戦争について考えるきっかけになると思います。
「せかいいちうつくしいぼくの村」が世界中にあって、そして平和でありますように、と願わずにはいられません。

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