私がまだ十代で結婚も妊娠も想像すらしていなかった頃のこと、「お母さんが“女の子は妊娠中に親知らずを抜くことになったら大変だから”って言って、昨日親知らずを抜きに行ったんだよね。痛い・・・」と友人が話していました。
まだ十代だった私は親知らずと妊娠の関係がよくわからず、その時は「ふ~ん」と答えたのですが、まさか自分が、友人のお母さんの言った通りの“大変だから”な事態になるとは思っていませんでした。
結婚した数か月後、両方の下の奥歯のあたりが痛くなったので歯医者さんに行きました。
診察結果は「親知らずが斜めに生えてきて炎症を起こしている」とのことでしたが、同時に「炎症を起こしている時に歯を抜くとすごく痛いので、まずは炎症を抑えましょう」とのことで、とりあえずその日はお薬だけ出してもらいました。
私の妊娠が発覚したのはその数日後。妊娠2ヶ月でした。
妊娠期間中は食べ過ぎでぶくぶく太っていく以外に特に問題なく、無事第1子を出産しました。
出産後は育児につきものの寝不足に悩まされながらも、楽しい毎日を送っていたのですが、出産して1年ほどたった頃、また奥歯の下のあたりが痛くなったのです。
前回と違って、おそらく親知らずだろうと予想して歯医者に向かうとその通りで、前回と同じくまずは炎症を抑えてから抜歯をすることになりました。
私の親知らずは予想よりも大きくて根が深かったとのことで、抜歯後に歯茎を縫ってもらい、痛み止めのお薬をもらって帰りました。
歯医者さんに授乳中であることを伝えていたので、痛み止めのお薬もごくゆるいものを出していただきましたが、やはりお薬なので授乳する気にならず、しばらくは粉ミルクで過ごそうと決めたのですが、そこから地獄が始まりました。
まず痛み止めの薬を飲んでいないので、抜歯後の傷がズキズキと痛い!!
そして、授乳できないのでお乳がパンパンに固くなり、座っているだけでもジンジンズキズキと痛い!!
また、搾乳機でお乳を搾るのも、慣れないからか手も痛くなるし肩も凝る!!
さらに、子供を抱き上げるだけでお乳に激痛が走るので、子供を抱っこできなくて子供が泣きじゃくる!!
この状態でとりあえず1週間過ごし、次の検診ではもう片方の親知らずを抜いてもらいましたが、その時はもう先生に
「授乳しないのでよく効く痛み止めと抗生物質も出してください!」
とお願いしてしまいました。
おかげで歯の痛みはなくなりおっぱいの痛みだけになりましたが、それだけでも生活に支障をきたすほど十分に痛かったです。
両方の歯茎の痛みがなくなるまでの2週間は本当に地獄で、検診で「もうこなくて大丈夫ですよ」と言われたときは、授乳できる=おっぱいの痛みから解放される喜びと子供を抱っこできる喜びでいっぱいでした。
ところが!
痛いのはそれだけで終わらなかったのです。
全てのママがなるわけではないのですが、赤ちゃんが生まれて最初に授乳すると乳首が切れてしまうママがいます。
私は授乳した日に乳首が切れてしまい、あまりに痛いので看護師さんに赤ちゃんの口に入っても安全な塗り薬をもらって、毎回授乳後に塗っていました。
それでも授乳するたびに乳首に激痛が走り、歯を食いしばりながら涙をこらえながら授乳する日々が、退院する日まで続きました。
一度切れて傷が治ってしまうと、その後はもう切れないので安心して授乳できるのですが、傷が治らないまま赤ちゃんに思いっきり吸われるのは本当に痛かったです。
私の感覚としては出産より嫌な痛みだったのですが、なんとこの乳首の激痛が、抜歯した後の授乳で戻ってきてしまったのです!!
1度切れて、伸びて、新しい皮膚ができていたので、私の乳首は完全に授乳用に生まれ変わったと思っていたのですが、最後の診察を終えて2週間ぶりに授乳をしたら、一瞬でまた乳首が切れてしまいました・・・。
しかも子供はもう1才を過ぎていたので、歯茎ではなく歯が当たって痛さ倍増です!!
「やったー!週間ぶりにおっぱいの痛みから解放されるー!」と大喜びしていただけに、この予想外の乳首の痛みはかなりショックでした。
子供を産むと歯がボロボロになることは、妊娠中から育児マンガなどでよく目にしていましたが、私のように授乳中にくることもあるようです。
私の友人のお母さんの言ったことは正しかった・・・と心から思いました。
妊娠を予定されている方で、自分の親知らずの様子を知らない方は、1度歯科医で診察してもらった方がいかもしれません。
また現在妊娠中の方の中には、産婦人科の母親学級などで「乳首マッサージ」を指導された方も多いと思うのですが、おそらく「へ~」程度に聞き流しておられると思います(私もそうでした💦)
ぜひ聞き流さずに、きちんとマッサージをしておくことをおすすめします。
妊娠中は産まれてくる赤ちゃんのことで頭がいっぱいになってしまいますが、出産後に自分が大変な思いをすると赤ちゃんも大変だと思うので、ご自分のケアも忘れないようにして下さいね。
授乳期間中でも親知らずの抜歯は可能
先程の体験エピソードでもあったように、授乳中の方でもやり方を工夫すれば親知らずの抜歯は可能です。
ただ、生まれたばかりの赤ちゃんの面倒を誰かが見なければいけないので、そのタイミングで親知らずの抜歯を行わなければいけない状況が予測されるのであれば、旦那さんや両親など、身近な人に子供任せられるような環境を作っておくことも重要です。また、妊娠中とは違い、出産後は授乳中なのかどうかは見た目では判断できませんので、歯医者さんに行った際は必ず自分が授乳期間中である事はしっかりと伝えておきましょう。