産後すぐに始まる子育ての忙しさ。
赤ちゃんの成長に待ったなしの状況で
・動悸
・息切れ
・めまい
・顔のほてり
・胸痛
・夜間頻尿・・・etc
これらの症状に悩まされておられるなら出産による体質の変化かも・・・などとのんきに構えていては危険です。
なぜなら、これらは『産後高血圧』の症状だからです。
このまま放置しておくと、将来的には更年期障害が酷くなる危険性があり、さらに先ほどのような体調不良が慢性的に起こる原因になります。
そこで、このページでは『産後の高血圧の治療や対策』を薬や普段の生活、周囲の人に協力してもらう事など、一緒に見て行きたいと思います。
産後高血圧ってどんな病気?
『産後高血圧』とはその名前の通り、出産後の血圧が高血圧になってしまう高血圧症候群の総称です。
産後の高血圧は
・妊娠中高血圧症候群がそのまま産後に続いてしまう方
・産後に突如として高血圧になってしまう方
妊娠中に高血圧症候群を発症してしまった方は産後も血圧が改善されず、そのまま高血圧になってしまう方が多いのが実情です。
通常は、妊娠中の妊婦健診で高血圧が判明すると、血圧の数値次第では入院治療が必要になり、入院中は塩分や糖質、脂質などを完全に抑えた『減塩食』で生活する事になります。
それで、症状が改善されれば経過観察になるのですが、改善されなかった場合は投薬治療が行われます。
なぜかというと、血圧の高さが異常値のまま出産を行うと大量出血の原因になり母体が非常に危険だからです。
また、こうして正常値やそれに近い範囲のところまで改善されても産後に高血圧になってしまう方が多いのは前述の通りです。
こうした妊娠中の高血圧に悩まされておられた方も、産後12週以内(約3ヶ月ですね)に少しずつ血圧が正常値に戻って行く方も多く、ここまで期間を目安に血圧が正常値に戻っている方や戻りつつあり、正常値に近いところまで戻っている方は、高血圧には含まれません。
産後の高血圧の原因は?
産後の高血圧の原因は、妊娠中から続くものや産後に突如としてなってしまうもの、いずれにしてもはっきりとした要因が分かっていません。
- 精神的なストレスや肉体的な疲労
- 遺伝、肥満、腎臓の疾患や甲状腺機能異常などの何かしらの病気といった、隠れた要素
- 産後の肥立ちが遅れている
ただし、妊娠中に塩分を控えること、糖質や脂質を抑えて、血流をスムーズにしてあげる事が何より大切な高血圧対策になります。
そもそも高血圧は、産後であってもなくても、血液の質がドロドロしていて悪かったり、血管に血栓が出来てしまうような脂質の摂取、また塩分過多でむくみや尿タンパクが出てしまう事で起こっています。
これらの『直接的な引き金』を毎日の生活習慣から取り除くことが高血圧治療に求められますので、薬による降圧治療も行われますが、それに頼るのではなく『自分の生活習慣と食事で治す!』という気持ちで臨む事が高血圧治療の近道です。
また、ストレスを避けることも非常に重要です。
ここからは旦那さんにも読んで頂きたいのですが、奥さんに心配をさせたり、親戚などの度重なる訪問や見舞いなど、本人が気を遣ってしまうような(つまりストレスですね)生活はさせないようにして頂きたいと思います。
産後高血圧は薬で治せる?
産後高血圧は、降圧剤の服用も行う場合が多いのですが、あまりに血圧値が高い場合(上が200、下が100など)の場合は、入院加療が必要です。
その間に病院で行う治療は、降圧剤の投与で経過観察と減塩食で過ごして、体内から血流を阻害する要素(高血圧の引き金)を代謝で排出する事、しっかり休息を取る事、規則正しい生活(消灯時間には寝る)などで、高血圧の原因を徹底的に取り除いた生活を実践する事です。
先ほども、塩分過多や糖質過多、脂質過多などは高血圧の症状を悪化させてしまう要因になります。
また、飲酒や喫煙などもできないように監視されますので、高血圧で入院した方は治療が終わって正常値に戻ると、もう2度とあんな生活はしたくないと考えて食生活や生活習慣、喫煙や飲酒などを止めることができる方も沢山おられます。
普段の生活で出来る産後高血圧の対策
産後高血圧の対策は普段の生活の中で出来ることがたくさんあります。
・塩分(ナトリウム)を控える
・高タンパクな食事
・低糖・低脂肪な食事
・カリウムの摂取
塩分を摂り過ぎると、体内で塩分濃度を調節するために水分を溜め込もうとします。
それがむくみや高血圧につながるため、高血圧治療の第一歩が『塩分控えめを心がけること』です。
高タンパクな食事は、植物性タンパクを摂る生活を心がけることです。
お豆腐や納豆などの大豆タンパクはもちろん、野菜中心で味は薄味にこだわっておくと良いでしょう。
こうした高タンパクが必要な理由は、血管の強化です。
低糖・低脂肪な食生活を送る事で、血液をサラサラにして質を上げることが出来ます。
血流がスムーズになれば、その分心臓に血液を送り出すための負荷(血圧)が低くなるという事ですね。
また、カリウムの摂取は大切です。
カリウムは体内の塩分濃度を調節してくれる働きがあるためです。
食材としては、切り干し大根やパセリなどが高カリウムな食品です。
簡単な運動も効果的
運動といっても、産褥期の間は当然無理をする必要はありません。
ある程度運動ができる状態まで体が回復してから、ウォーキングの頻度を増やすといったような簡単な部分から始める程度で構いません。
重要なのは、何かしらの運動を継続的に続けることです。
睡眠時間を確保し、しっかりと休憩も取ること
少しでも睡眠時間や休憩の時間を長く確保できるように、普段の生活を見直すことが大切です。
産後高血圧の影響は?
産後高血圧の影響は、冒頭で触れた動悸、息切れめまいなど、普通の体調不良と勘違いされる事も多いところが見過ごしてしまいがちで怖いところです。
しかしながら、赤ちゃんのお世話や自分自身の身体のつらさ、間接的な旦那さんへの影響もあります。
産後高血圧の赤ちゃんへの影響
産後の授乳期に高血圧になると、1番の影響は母乳育児ができなくなるという点です。
産後の高血圧を治療するお薬で、ニフェジピンという成分で出来ている『アダラートCR10』など、いろいろなジェネリック医薬品があります。
厚生労働省が『副作用なし』と言っていても、薬を飲んでいる自分が子育てなんかしても良いのか…。
と自分を責めてしまうママさんが多いのも事実です。
さらには妊娠中高血圧症候群も産後高血圧もはっきりとした原因がわかっていないのが実情です。
また、もしママが倒れてしまったら…まだ1人では何もできない赤ちゃんに迷惑がかかってしまいます。
なので、医師の指示に従って、薬を飲む時は搾乳をする事や充分な休息を取る必要がありますが、決して自分を責めることはしないでください。
産後高血圧の自分の身体への影響
産後高血圧の自分自身の身体への影響は、冒頭でもご紹介したような症状が出ることから始まります。
また、治療の期間中には薬の副作用で気分が悪くなる事がしばしば起こります。
具体的には
・全身皮膚の発赤、皮膚の剥がれ、発熱、全身の倦怠感(だるさ)
・のどの痛み、頭痛、発熱、皮下出血
・食欲不振、全身の倦怠感、皮膚や白目が黄色みがかる
・意識が薄れる、考えがまとまらない、判断力の低下、意識障害
これらの症状が産後高血圧の治療薬の服用中に起こり得る『降圧剤の副作用』です。
こういった症状が出てしまう場合は、すぐにでも降圧剤の服用を中断して、医師に相談してください。
また、将来的には更年期障害がきつくなるなどの症状が発生する事もあり得ます。
産後高血圧の旦那さんへの影響
子育て中の『今』を切り取って考えてみても、旦那さんが唯一頼れる存在であることは間違いありません。
あなたが家事をこなせないとなれば、旦那さんがやらなくてはいけません。
先ほど、一緒に見た『産後高血圧の降圧剤服用中の副作用』や赤ちゃんに母乳をあげられないというのは、心身ともに堪えることではありますが、それでも将来的にずっと放置すると生活習慣病の発症につながりますし、更年期障害がきつくなって、それこそ何もできなくなってしまうという事も考えられます。
産後高血圧になってしまった場合は、とにかく旦那さんに協力をしてもらい、一緒に乗り越えるしかありません。
申し訳ないと思う気持ちがあったとしても、その気持ちは旦那さんに何かがあった時に、あなたが支えてあげられるように元気になれば良いんです。
可愛い我が子と旦那さんのため、そして自分のためにも、その先を見据えてしっかり高血圧を治す事に専念しましょう。
産後高血圧は、怖い病気の原因になります。
脳出血や脳梗塞などの循環器系の生活習慣病を招き、命の危険にもさらされます。
また、体調不良をずっと抱えて生きて行かなければならないなど、人生を左右する病気です。
妊娠してから味の好みが変わって濃い味付けの食べ物を食べるようになった・・・
ストレスを抱えているようだけど、相談できずにいることがあるのかな・・・
といったような気配りを周囲が行ってあげる事も高血圧の予防に大きな役割を果たします。
元気に生活している事が、赤ちゃんにとっても、旦那さんにとっても、本人にとっても大切なことですので、普段の生活から注意して行きたいですね。