可愛い赤ちゃんとの授乳ライフは、ママにとって本当にかけがえのない時間ですよね。直接おっぱいをあげるだけでなく、搾乳機(さくにゅうき)を使って母乳を搾り、哺乳瓶で赤ちゃんにあげる「搾乳(さくにゅう)」という選択肢も、多くのママが経験することでしょう。
でも、「搾乳機って、1日に何回使えばいいの?」「どんなタイミングで搾るのがベストなの?」と、その回数やタイミングについて悩んでしまうママもいらっしゃるかもしれません。ここでは、そんなママたちの疑問に寄り添いながら、搾乳機の使用回数について、具体的な状況に応じたヒントを丁寧にお伝えします。
搾乳の目的で回数は変わる!
搾乳機を使う目的は、ママによって様々です。その目的によって、適切な搾乳回数やタイミングは大きく変わってきます。
主な搾乳の目的
- 母乳の分泌を促したい、増やしたい(特に産後早期や、分泌が少ないと感じる時)
- 赤ちゃんが直接おっぱいを飲めない時(入院中、早産児、口の吸い付きが弱いなど)
- 乳腺炎予防のため(おっぱいが張りすぎている時)
- ママが外出や仕事で授乳できない時
- パパや家族に授乳を任せたい時
- 卒乳に向けて、少しずつ分泌を減らしたい時
例えば、私の友人のAさんは、産後すぐ赤ちゃんがNICUに入院したため、母乳を届けるために毎日せっせと搾乳していました。「最初は本当に大変だったけど、少しでも赤ちゃんのために、って頑張れたの」と話していました。目的がはっきりすると、頑張るモチベーションにも繋がりますよね。
目的別:1日の搾乳回数とタイミングの目安
あなたの搾乳の目的と、赤ちゃんの月齢に合わせて、参考にしてみてください。
1. 母乳の分泌を増やしたい・確立したい時(産後早期〜2ヶ月頃)
- 回数:1日8〜10回以上
- タイミング:2〜3時間おきに、夜間も含む
- ポイント:この時期は、赤ちゃんが頻繁に母乳を吸うことで、ママの体が「もっと母乳を作って!」という信号を受け取り、分泌が確立されていきます。赤ちゃんが直接吸えない場合は、授乳と同じくらいの頻度で搾乳することで、その信号を送り続けることが大切です。特に夜間のプロラクチン(母乳分泌ホルモン)の分泌が活発なので、夜中も搾乳することが有効です。
「え、そんなに!?」と驚かれるかもしれませんが、母乳分泌を増やすためには、この「頻回」がカギとなります。焦らず、でも根気強く続けることが大切です。
2. 赤ちゃんが直接飲めるが、おっぱいが張る・残乳がある時
- 回数:必要に応じて1〜3回程度
- タイミング:授乳後、おっぱいが張っていると感じた時。または、次の授乳まで時間が空く前。
- ポイント:おっぱいが張りすぎると、赤ちゃんがうまく吸えなくなったり、乳腺炎の原因になったりすることがあります。張りを感じたら、少しだけ搾って楽にする程度でOKです。搾りすぎると、かえって母乳の分泌が増えてしまうこともあるので注意しましょう。
3. ママが外出・仕事で授乳できない時
- 回数:外出・仕事の頻度に合わせて1〜3回程度
- タイミング:授乳予定時間に合わせて搾乳し、冷蔵・冷凍保存します。職場では、休憩時間などを利用して定期的に搾乳することが、分泌維持と乳腺炎予防になります。
- ポイント:普段赤ちゃんが授乳するタイミングに合わせて搾乳すると、おっぱいのリズムが崩れにくいです。職場に搾乳できる環境があるか、事前に確認しておきましょう。
4. パパや家族に授乳を任せたい時
- 回数:必要に応じて1〜2回程度
- タイミング:比較的おっぱいが張っている時間帯や、ママがゆっくり休みたい時。
- ポイント:パパが授乳してくれることで、ママは心身ともにリフレッシュできます。事前に搾乳してストックしておくと良いでしょう。
5. 卒乳に向けて分泌を減らしたい時
- 回数:徐々に減らしていく
- タイミング:おっぱいが張って不快な時に、少量だけ搾って楽にする程度。
- ポイント:急に搾乳をやめると乳腺炎のリスクが高まります。徐々に搾乳量や回数を減らし、おっぱいが張る間隔を長くしていくことで、自然な形で分泌を減らしていきます。
大切なこと:これらの回数はあくまで目安です。赤ちゃんの飲む量やママのおっぱいの状態は日々変化します。無理のない範囲で、ご自身の体調を最優先に考えて搾乳してくださいね。
搾乳の効果を高めるヒント
せっかく搾乳するなら、効率良くたくさん搾りたいですよね。いくつかの工夫で、搾乳量を増やすことができます。
- リラックスできる環境で:温かい飲み物を飲んだり、リラックスできる音楽を聴いたりして、ストレスなく搾乳できる環境を整えましょう。
- 温める・マッサージする:搾乳前に、おっぱいを温かいタオルで温めたり、軽くマッサージしたりすると、母乳の出が良くなります。
- 赤ちゃんの写真を見る・匂いをかぐ:赤ちゃんのことを考えたり、写真を見たり、匂いをかぐことで、オキシトシンというホルモンが分泌され、母乳の射出を促す効果があります。
- 両側同時搾乳:電動のダブルポンプ式搾乳機を使うと、両側同時に搾乳できるため、時短になるだけでなく、片側ずつ搾るよりも全体の搾乳量が増えることが研究で示されています。
- 授乳直後に搾乳:赤ちゃんが直接おっぱいを吸った直後は、母乳の分泌が活発になっていることが多いので、そのタイミングで搾乳すると効率が良い場合があります。
私のママ友のBさんは、「最初は全然搾れなくて焦ったけど、あったかい紅茶を飲みながら赤ちゃんの動画見てたら、ジャーって出てきてびっくりした!」と言っていました。心と体の繋がりって本当に不思議ですよね。
Q&A:ママたちの疑問に答えます
Q1: 搾乳した母乳はどれくらい保存できますか?
A: 母乳の保存期間は、保存方法によって異なります。
- 室温(25℃以下):3〜4時間
- 冷蔵庫(4℃以下):24時間〜48時間(最新の情報では72時間程度まで可能とする機関もありますが、早めに使うのが安心です)
- 冷凍庫(-18℃以下):3ヶ月〜6ヶ月(家庭用冷凍庫の場合)
解凍した母乳は再冷凍できません。詳しい保存方法や期間については、かかりつけの産科医や助産師に確認しましょう。
Q2: 搾乳で全く母乳が出ません。どうすればいいですか?
A: 焦る必要はありません。母乳の分泌は個人差が大きく、搾乳機に慣れるまで時間がかかることもあります。まずはリラックスできる環境を整え、おっぱいを温めて軽くマッサージしてみましょう。手で搾ってみるのも良い練習になります。また、搾乳機の設定(吸引圧やリズム)を見直したり、別の種類の搾乳機を試してみるのも有効です。それでも難しい場合は、助産師や母乳外来の専門家に相談してください。
Q3: 夜中に搾乳するのは必要ですか?
A: 母乳の分泌を増やしたい場合や、赤ちゃんが夜中に授乳できない場合は、夜中の搾乳が効果的です。特に午前2時〜6時頃は、母乳分泌を促すホルモン(プロラクチン)の分泌が最も活発になると言われています。しかし、ママの睡眠も非常に重要です。無理のない範囲で、ご自身の体調と相談しながら回数を調整しましょう。
Q4: 搾乳機を使うと、おっぱいが傷つきませんか?
A: 適切に使えばおっぱいが傷つくことはほとんどありません。乳首が痛みを感じる場合は、吸引圧が高すぎる、乳首のサイズが合っていない、正しい位置で吸引できていない、などの可能性があります。取扱説明書をよく読み、乳首のサイズが合っているか確認し、最初は低い吸引圧から試しましょう。痛みが続く場合は使用を中止し、助産師に相談してください。
Q5: 搾乳機を使わず、手で搾るのとどちらが良いですか?
A: 手で搾る「手搾り」も、母乳を搾る有効な方法です。特に少量だけ搾りたい時や、乳腺炎予防で張りを和らげたい時、外出先で手軽に搾りたい時などに便利です。搾乳機に比べて、細かな量の調整がしやすいというメリットもあります。搾乳機と手搾り、両方を使いこなせると、より柔軟に対応できます。どちらが良い、というよりは、状況に合わせて使い分けるのがおすすめです。
まとめ:ママのペースで、愛しい赤ちゃんに愛情を届けよう
搾乳機の使用回数やタイミングについて、たくさんの情報があって、「これでいいのかな?」と迷ってしまう気持ち、本当によくわかります。でも、一番大切なのは、完璧な回数をこなすことではなく、ママが無理なく、そして安心して、赤ちゃんに愛情を込めた母乳を届けることです。
今日お伝えした回数やタイミングは、あくまで目安です。あなたのライフスタイル、おっぱいの状態、そして何より赤ちゃんのニーズに合わせて、柔軟に調整していきましょう。例えば、「まずは1日3回、決まった時間に搾ってみる」「おっぱいが張ったら、ちょっとだけ搾って楽にする」といった、小さな一歩からで大丈夫です。
搾乳は、ママの体を休ませる時間を作ったり、パパや家族も授乳に参加できるようになったりする、素晴らしい手段でもあります。ママが心身ともに健康で、笑顔でいることこそが、赤ちゃんにとって最高の栄養であり、最高の安心感です。どうぞご自身を労わりながら、愛しい赤ちゃんとの授乳ライフを楽しんでくださいね。あなたの頑張りは、きっと赤ちゃんに伝わっていますよ。