はじめに:専門職が伝えたい「冬の不調」のメカニズム
こんにちは。地域で多くのママたちを支援している保健師です。1月から2月にかけて、赤ちゃんの健診に来るママたちの顔色が優れないことが多々あります。多くの方は「私がしっかりしなきゃ」と仰いますが、私たちはそれを「環境的な要因による脳の疲労」だと捉えています。
この記事では、気分の落ち込みを「気合」で解決しようとせず、科学的な視点と環境調整で解決するための専門的なアドバイスをお届けします。
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1. 保健師が見る「冬の落ち込み」の背景(※薬機法遵守の知見)
- 冬季性感情障害(SAD)の軽度な影響:日照不足は網膜から入る光の刺激を減らし、感情をコントロールする物質のバランスを揺さぶります。
- 産後の甲状腺機能の変化:産後はホルモンバランスが激変します。冬の寒さは代謝に負担をかけるため、気分の落ち込みが強く出やすい傾向があります。
- 「母性愛」というプレッシャー:冬は子供を感染症から守る緊張感が強く、それが慢性的なストレスとなり、気分を沈ませます。
2. プロが勧める「冬の心のメンテナンス」
- 午前10時までの「光の摂取」:曇り空でも構いません。窓際で20分過ごすだけで、脳に良い刺激が届きます。
- タンパク質と鉄分を意識した「補食」:気分を安定させる物質の原料はタンパク質です。手軽な納豆や卵、チーズなどで、欠乏しがちな栄養を補いましょう。
- 「外部との接触」を週2回予約する:誰とも話さない日が続くと、思考は内向きになります。オンライン健診や、私たち保健師への電話を「予定」として組み込んでください。
3. 支援の現場で改善した「落ち込み」の事例
【成功事例:『1日15分』の散歩を処方】
「落ち込みがひどいママに、防寒を徹底して15分だけ外に出るようアドバイス。視覚情報が変わることで、脳の閉塞感が改善しました。」(保健師)
【失敗事例:『もっと明るく考えて』という励まし】
「家族からの不用意な励ましが、ママを追い詰めたケース。必要なのは励ましではなく、『今、しんどいよね』という受容でした。」(保健師)
【成功事例:寝室の遮光カーテンを廃止】
「朝の日光が入るようにしただけで、朝の絶望感が和らいだママがいました。光の力は、私たちが思う以上に強力です。」(保健師)
【失敗事例:不調を隠して『完璧な離乳食』を継続】
「無理が祟り、産後うつ状態に。早めにレトルトを活用し、ママの休息を優先すべき状況でした。」(保健師)
【成功事例:自治体のサポートに繋がった】
「勇気を出して電話してくれたママ。訪問支援を通じて、家事負担を減らすことで笑顔を取り戻しました。」(保健師)
4. 専門家がお答えする「冬の心のケア」Q&A
- Q1. 病院に行くほどではない気がしますが、辛いです。
- A1. 「辛い」と感じているなら、それは相談する十分な理由です。まずは地域の保健センターへお電話ください。私たちはあなたの味方です。
- Q2. 冬になると子供に冷たく当たってしまいます。
- A2. それはあなたの愛情が足りないのではなく、キャパシティが寒さで縮んでいるだけです。自分を責めず、まずは暖かくして休んでください。
- Q3. 冬の食事、何に気をつければ気分が上がりますか?
- A3. 温かいスープなどで内臓を温めることが、自律神経の安定に繋がります(※一般的知見)。冷たい飲み物は極力控えましょう。
- Q4. 冬、家事をする気力が全く湧きません。
- A4. 冬は哺乳類が活動を抑える時期。家事ができないのは自然な反応です。死なない程度の家事で合格点をあげましょう。
- Q5. 夫に「保健師に相談しろ」と言われ、傷つきました。
- A5. パパもあなたのことが心配で、プロの力を借りたかったのでしょう。まずは私たちと「おしゃべり」する感覚で繋がってみませんか?
まとめ:あなたの「心」は、春に向けて充電しているだけ
ママさん。今の落ち込みは、あなたがこれまで全力で走ってきた証拠です。そして、この冬の寒さから自分と赤ちゃんを守るために、身体が「省エネモード」に入っているだけなのです。病気でも、あなたの能力不足でもありません。
具体的な提案です。「明日、お住まいの地域の保健所に電話して『ちょっと冬の育児がしんどくて』と一言だけ伝えてみる」。または、「窓を開けて1分間だけ外の空気を吸い、大きく伸びをする」。私たちは、あなたが一人で泣かないように、いつでもここにいます。あなたは一人ではありません。私たちがあなたの伴走者になりますから、安心して身を委ねてくださいね。