「なんでこんなものが怖いの?」と、子どもの予想外の反応に戸惑った経験はありませんか?例えば、部屋の隅にある影、掃除機が立てる音、いつもと違う表情のパパ…。大人から見れば何でもないようなことが、子どもにとっては大きな恐怖の対象になることがあります。
「怖くないよ、大丈夫だよ」と声をかけても、かえって泣き止まなかったり、余計に怖がらせてしまったり…。そんな時、どうしたらいいのか分からなくなって、ママも辛い気持ちになりますよね。その気持ち、私たちは痛いほどよく分かります。でも、大丈夫です。
子どもが怖がるものには、それぞれちゃんとした心理的な理由があります。この記事では、子どもの発達段階と照らし合わせながら、なぜそれが怖いと感じるのか、そしてその恐怖にどう寄り添ってあげればいいのかを、具体的にお伝えします。子どもが安心して、恐怖を乗り越えるためのヒントを見つけていきましょう。
子供が特定のものを怖がる心理と発達段階
子どもが怖がるものは、年齢によって変化していきます。これは、子どもの認知能力や想像力の発達と深く関係しています。
1. 0歳~1歳半頃:未知の対象への不安
この時期の赤ちゃんは、まだ「自分」と「自分以外のもの」の区別が曖昧です。そのため、見たことのない顔の人(人見知り)や、聞いたことのない大きな音(雷、掃除機など)に、強い不安を感じることがあります。
これは、脳が危険なものを察知する本能的な反応であり、健全な発達の証拠でもあります。ママが「大丈夫だよ、ママがそばにいるからね」と優しく声をかけてあげることで、安心感を与えましょう。
2. 1歳半~3歳頃:分離不安と想像力の芽生え
この時期になると、ママと自分が別々の存在であることを理解し始めます。そのため、ママと離れることへの不安(分離不安)が大きくなります。また、想像力が豊かになり、絵本やお話に出てくる怪物や魔女など、空想上の存在を怖がるようになります。
この時期の恐怖は、子どもが自分自身の心を理解していくための大切なプロセスです。「おばけはいないよ」と否定するのではなく、「おばけが怖かったね。でもママが守ってあげるからね」と、子どもの感情に寄り添うことが大切です。
3. 3歳~6歳頃:論理的思考と現実との区別
この時期になると、論理的な思考力が発達し、「暗闇の中に何かいるかもしれない」と、自分で想像を膨らませて怖がるようになります。これは、子どもが論理的な思考を学び始めた証拠です。
「おばけは本当にいるの?」と聞かれた時は、「おばけは、本の中のお話に出てくるんだよ。本当はいないんだよ」と、優しく現実とフィクションの区別を教えてあげましょう。また、雷や地震などの自然現象を怖がる場合は、「雷は雲の中の電気が光っているんだよ」と、科学的な説明をしてあげることも効果的です。
子どもの恐怖に寄り添うための具体的な対処法
子どもが怖がっている時に、ママができることはたくさんあります。
1. 恐怖の感情を否定しない
- 「そんなの怖くないよ!」と否定するのではなく、「怖かったね」「ドキドキしたね」と、まずは子どもの感情をそのまま受け止めてあげましょう。
- 恐怖の感情を言葉で表現させてあげることで、子どもは自分の気持ちを整理することができます。
2. 安心できる環境を整える
- 夜、寝る前に怖がる場合は、豆電球をつけてあげたり、お気に入りのぬいぐるみをそばに置いてあげたりして、安心できる環境を整えましょう。
- 子どもがいつでもママのそばに来られるように、夜間でも抱きしめてあげられるような準備をしておきましょう。
3. 「魔法の言葉」や「お守り」を作る
子どもと一緒に、恐怖を乗り越えるための「魔法の言葉」や「お守り」を作ってみるのも良い方法です。
- 「おばけはバイバイ!」と、一緒に大きな声で叫ぶ。
- 「大丈夫、大丈夫、ママがいるから大丈夫」と、何度も繰り返して唱える。
- お気に入りのぬいぐるみに「勇気のお守り」と名前をつけて、怖い時にギュッと抱きしめる。
これは、子どもが自分の力で恐怖に立ち向かうための、心のサポートになります。
ポイント:
- 共感と受容:「怖い」という感情は、子どもの大切な感覚の一つです。まずは、その気持ちを認めてあげましょう。
- 安心できる場所:ママの腕の中は、子どもにとって一番安全な場所です。いつでも抱きしめてあげられるように準備しておきましょう。
- 小さな自信:「魔法の言葉」や「お守り」で、子どもが自分で恐怖を乗り越える力を育みましょう。
子供の恐怖に関するQ&A
Q1:いつもと違うパパの顔(髭剃り後など)を怖がります。どうすればいいですか?
A1:これは、お子さんが「知っている人」と「知らない人」の区別をしっかりとつけている証拠です。まずは、「この人はパパだよ」と優しく声をかけながら、お子さんの目の前でパパが笑顔になったり、いつもの仕草をしてみたりして、安心させてあげましょう。無理に抱っこさせたりせず、徐々に慣れさせていくことが大切です。
Q2:掃除機やドライヤーの音を怖がります。どうしたらいいですか?
A2:大きな音を怖がるのは、聴覚が発達している証拠です。まずは、音が鳴る前に「これから掃除機かけるね」と予告してあげましょう。そして、お子さんが怖がらない距離から、少しずつ音に慣れさせていくのが効果的です。一緒に「ゴー!」と音の真似をしたり、「掃除機さん、バイバイ」と声をかけたりして、遊びの中に音を取り入れてみましょう。
Q3:暗い場所を怖がります。夜寝る時、どうすればいいですか?
A3:暗闇を怖がるのは、想像力が豊かになった証拠です。無理に真っ暗にせず、豆電球をつけたり、月明かりをカーテンから少し入れたりして、完全に暗くならないように工夫しましょう。また、寝る前に「お部屋には、〇〇ちゃんが大事なおもちゃが守ってくれているよ」など、安心できる言葉をかけてあげるのも効果的です。
Q4:怖い絵本を怖がり、途中で読むのをやめてしまいます。
A4:それは、お子さんが自分の気持ちをしっかりと表現できている証拠です。無理に読み進めず、「怖かったね。また明日読もうね」と、いつでもやめていいことを伝えてあげましょう。お子さんの「もうやめたい」という気持ちを尊重してあげることが、信頼関係を築く上で大切です。
Q5:お友達が怖がっているのを見ると、うちの子も怖がってしまうのですが、これは真似をしているのでしょうか?
A5:お子さんは、お友達の表情や反応から感情を読み取る練習をしています。これは、共感能力が育っている証拠です。お友達が怖がっているのを見たら、「〇〇ちゃん、怖いんだね」と、共感してあげる言葉をかけてみましょう。そうすることで、お子さんも「自分だけじゃないんだ」と安心できる場合があります。
まとめ:怖いものも、成長のきっかけ。ママの愛が、最高の魔法。
お子さんが怖がる姿を見て、「どうしてこの子は…」と、悩んでしまうママの気持ち、私たち編集部は痛いほどよく分かります。私たち自身にはまだ子供がいませんが、子育てに一生懸命なあなたの姿を、心から応援しています。
子どもが怖がるものは、大人には理解できないかもしれません。でも、それは子どもが自分自身の心と向き合い、世界を理解しようとする、大切な一歩なのです。
「でも、どうしたらいいか分からない…」そう思ったら、どうか、特別なことなんてしなくて大丈夫です。
ただ、そばにいて、ギュッと抱きしめてあげるだけでいいのです。
あなたの温かい腕の中は、子どもにとって世界で一番安全な場所です。
子どもが怖がって泣き出した時、あなたの「大丈夫だよ」という優しい声が、最高の魔法となって、子どもの心を包み込んでくれます。
「この子のペースで、ゆっくりでいいんだ」と、どうか、あなた自身にも優しく声をかけてあげてください。